城崎温泉の日々

宿とライブラリーの
幸せな関係

この夏
”ブックホテル”で過ごす
贅沢な時間

発売中の『婦人画報』8月号の特集記事「この夏、”ブックホテル”へ」に三木屋を掲載いただきました。

その他の掲載施設は石亭、箱根本箱、NIPPONIA播磨福崎、アートビオトープ那須とどちらも素敵でユニークな滞在を提供されており、錚々たる宿の末席に入れていただき大変光栄です。

三木屋では2013年にライブラリーを作りました。小説「城の崎にて」で志賀直哉が初めて訪れてから100年目を記念して施設全体のリニューアルを行ったタイミングでした。

選書は幅允孝さん(BACH)にしていただきました。幅さんは2013年から始まった”城崎温泉に来ないと買えない本”を作るプロジェクト、NPO法人本と温泉にも関わってもらっています。

幅さんと家具レーベルE&Yの松澤剛さんと共に作ったライブラリーの空間は今や宿の顔の一つになっています。

本棚のテーマは「本が読みたくなる本棚」。「作家と食」「作家と旅」や「読書のよろこび」「本棚礼賛」など10個のテーマに分かれており、手に取りやすい写真集からじっくり読める小説まで約300冊の本が並んでいます。

ブックエンドやプレートはブロンズで作られており、時間の経過と共に風合いが変化していきます。時を重ね熟成していく姿に三木屋の在り方を重ね合わせています。

本棚の1段目と2段目では出方が違いますが、これは天井からの照明で2段目に影が出来ないように工夫してあり、すべての本のタイトルが見やすいように考えられています。

今や一つのカテゴリーとして特集が組まれるようになったブックホテルですが、2013年の時点では本棚のある宿というのはそんなに多くなかったと思います。

なぜ三木屋にライブラリーを作ったのかというと、湯治場だった頃の三木屋には図書室があったことを知ったことがきっかけでした。志賀直哉は大正2年に3週間滞在し「城の崎にて」が生まれるのですが、その間何をしているかというと、執筆はもちろんですが毎日散歩(4~5時間、怪我の当時に来ているのに登山も2回しています)や玉突きをしながら読書もしています。長期滞在が基本の湯治場ではサービスとして本の貸し出しがあったということです。三木屋に残っている古い資料に「三木屋図書館」という印が押してあるものが残っています。      

戦後から高度経済成長期にかけて湯治場は観光地に変わり、温泉地は1泊2日の団体旅行が主になっていくに連れて、宿には効率が求められ図書室の様な時間をゆっくりと使う機能は自然と失われていきました。しかし時代が変わり、全員をまんべんなく満足させる旅から、各個人の心の豊かさや知的好奇心を満たすオンリーワンな旅へと求められるものが変わってきています。

本といえば電子書籍も流行しています。たしかに新刊のビジネス書や自己啓発書などを読むには電子書籍が便利だと思いますが、旅先での読書の時間は普段とは違う贅沢な時間の流れを感じさせてくれますし、普段手に取らないような本に巡り合う出会いのチャンスでもあり、やはり紙の本をめくる所作や手触りも一つの楽しみではないでしょうか。

新型コロナウイルスの拡大によって旅行は大きな影響を受けました。しかしながら、様々なことがオンラインで行われるようになった一方で、リアルであることの価値も再認識されたと思います。特に旅は実際に体験することに価値がある最たるものではないでしょうか。

文豪が愛した登録文化財の木造建築に泊まり、小説に出てくる日本庭園を眺めながら読書に耽る。   そして今夏には現代アートも!(詳しくは↓の記事をご覧下さい。)                      ECHO あしたの畑-丹後・城崎 2022.7.22-8.21 | 城崎温泉の日々 | 城崎温泉 三木屋 (kinosaki-mikiya.jp)

この夏はぜひ城崎温泉の”ブックホテル”、三木屋へお越し下さい。お待ち申し上げております。